【プレイバックZX-25R】関連記事
オートポリスは約1年振り、3回目の走行。アップ&ダウンが多くコーナーのバリエーションも豊富、1周4,674mの国際規格のコースだ。カワサキはZX-25Rの仕上がりに自信があったからこそ、この場所で試乗会を開催したのだろう
約1年前、2021年の夏に開催されたZX-25Rの試乗会の模様を改めて紹介。ワインディング編に続きサーキット編をプレイバック。
全開にできる快感。パワーバンドをキープする悦び。1万2,000rpm~1万7,500rpmのエキゾーストノートはゾクゾクするほどの気持ちよさだった。やっぱり4気筒だな。妙に納得している自分に出会う。オートポリスは、1周4,674mの国際規格のコース。ZX-25Rに自信があったからこそ、この場所で試乗会を開催したのだろう
250ccなら回せる。やっぱりアクセル全開が気持ちいい
「もっと回せ、回せ」。サーキットでのZX‐25Rのエキゾーストノートは、エンジンからのそんな声に聞こえる。その声に応えるように僕はスロットルを開ける――。甲高いエキゾーストノート、力強い吸気音、近年のバイクでは聞くことのできなかった音が轟く。
小さなスクリーンに身体を折り畳み、タコメーターの針が1万7,000rpmになりシフターランプが光ると同時にスロットルは全開のままシフトペダルを上げていく。ストレートエンドでは6速/1万7,000rpmで182㎞/hを披露。
パワーバンドキープ! ビッグバイクではできないこの乗り方は超新鮮。パワーバンドは1万2,000rpmから1万7,500rpmだ。シフターのアップ側は2,500rpmから1万7,000rpmの間で機能。ダウンは1万6,500rpmまでで、それ以上の回転だとオーバーレブの可能性があるため機能しない。
トラコンは、「2」からスタート。1本目を走ると全コーナーで介入。違和感はなかったが、2本目からは「1」に。するとまったく介入しなくなった。
ハンドリングはワインディングで感じた通り、手応えのある安定型。昔の250ccのようなクイックさはない。でもそれが今の感性。SBK王者であるZX‐10Rにも似ていて、苦手なコーナーが見つからないとてもフレキシブルな設定だ。250ccだが、きちんと減速して向きを変え、立ち上がっていくというビッグバイク的な走りの組み立てがオススメだ。この過程をなんとなく行い、ただ旋回スピードを上げてバンク角を増やすような走り方だとZX‐25Rは本領を発揮できない。
約1年前に、ジョニーにインタビューした際の言葉が頭を過ぎる。
「僕がレーサーに求めるのは扱いやすさ。エンジンもシャシーもね。いまのZX‐10Rはキャリアの中で最高の仕上がり。安定していて、扱いやすい」。10R譲りの長いスイングアームとリヤサスのマウント方法、そしてアルミでなくスチールフレームがZX‐25Rの扱いやすさを生み出す。
スクリーンの中に身体を伏せて、スロットル全開! スロットルを開けた瞬間に後輪が路面を掴む感覚がバイクを操っている醍醐味を大きくする。これが250ccでこの楽しさをきちんと追求してきたカワサキのこだわりだ
走るほどにワクワク。様々なライダーに薦めたい
走るほどに自信が湧くのは、わずかなスロットルワークでも車体とサスペンションが今起きていることをライダーに正確にフィードバックしてくれるからだ。
走行後、いろいろなジャーナリストとの会話は「楽しい〜」「何キロ出た?」など。確かに180km/hからはジワジワとスピードが上がるから1〜2km/hの差が大きい。まるで昔の峠やサーキットのように、情熱、興奮、そして感動でピットは沸いていた。
だからこそZX‐25Rで峠を走ってコーナリングの楽しさを知ったらサーキットを知って欲しい。また、さらなる極みであるZX‐6RやZX‐10Rを知って欲しいとも思う。それがZX‐25Rに与えられた使命なのだと思う。
バイクでスポーツする感覚をリアルに楽しみたい方へ
バイクづくりは大量生産からより趣味性を重視した方向に舵を切るだろう。それは発展途上国が次々と先進国になっていくことで日本のバイクづくりはどこかで破綻するからだ。その先陣を切るのは、排気量のヒエラルキーを払拭し、そのバイクの持つ面白さとメーカーの個性で勝負しているZX‐25Rな気がする。
大型二輪免許はないけど本格的なスポーツバイクを知りたいユーザー、もう一度バイクでスポーツしたいベテランライダー、いずれのニーズにもニンジャZX‐25Rは適切である。
さらにこのエンジンは、ネイキッドなど、他機種への派生も期待できるだろう。個人的にはスーパーチャージャー付きにも期待したい。ダウンサイジングでなく、あえて250cc/4気筒を選ぶライダーが急増しそうな予感がする。
フルブレーキングすると応力がステム周りに集中し、車体のしなる感覚を掴みやすい。ブレーキは軽快なハンドリングを狙ったシングルディスク。キャリパーはラジアルマウントで、なんとモノブロックだというから驚き。コースでフロントのABSが介入することはなかった
パワーモードは「F」と「L」から選べる。「L」にするとレスポンスが穏やかに。路面状況が悪い時や、ツーリング帰路の疲労時などに使いたい。トラクションコントロールは「OFF」「1」「2」「3」を用意。サーキットなら「2」からスタートして、介入が大きいようなら「1」にするのが良いかも。ただ、このあたりは使用するタイヤなどによってもかなり変わるはず
「エンジンは回してナンボ」ビッグバイクではあり得ない全開走行が気持ち良い! 4気筒の高周波も250ccなら怖くない
ZX-10R譲りのデザイン。意外と車格が大きいので、存在感もある
真夏のサーキットをガンガン走ってもタレてこなかったブレーキ。サスペンションもタイヤも、まずはノーマルでもサーキットを楽しめるのがよい
SPEC
- 総排気量
- 249cc
- ボア×ストローク
- 50.0×31.8mm
- 圧縮比
- 11.5対1
- 最高出力
- 33kW (45ps)/14,500rpm
ラムエア加圧時 34kW (46ps)/15,500rpm - 最大トルク
- 21Nm(2.1kgf・m)/13,000rpm
- 変速機
- 6速
- フレーム形式
- ダイヤモンド
- 車両重量
- 183kg(SE:184kg)
- キャスター/トレール
- 24.2°/99mm
- サスペンション
- F=テレスコピックφ37mm倒立
R=スイングアーム - ブレーキ
- F=φ310mm R=φ220mm
- タイヤサイズ
- F=110/70R17 R=150/60R17
- 全長/全幅/全高
- 1,980mm/750mm/1,110mm
- 軸間距離
- 1,380mm
- シート高
- 785mm
- 燃料タンク容量
- 15L
- 価格
- 84万7,000円〜