FTR=フラットトラックレーサー。フラットトラックはアメリカでは今でもメジャーなオーバルレースで、最近は少し形態は違うがヴァレンティーノ・ロッシもトレーニングに取り入れる競技。そんなレースをバッグボーンに持つのがFTR1200Sレースレプリカだ
FTR1200Sレースレプリカで巡った九州ツーリングの流れはRIDE HI MAGAZINE.002を見ていただくとして、ここでは最後に訪れた大牟田の三池炭鉱宮原坑を紹介したい。
三池炭鉱宮原坑は、FTR1200Sをお借りした大牟田のインディアンディーラーであるローライダーママからもほど近く、2015年に世界文化遺産に登録された。 1895年に着工し、1897年に深度141mで着炭。1898年に出炭し、大正期には出炭量51万トンを超えるが、1931年に閉坑している。
これは偶然だが、インディアンの母体となる自転車生産会社であるヘンディ・マニファクチャリング・カンパニーは1897に設立。三池炭鉱宮原坑着炭と同じ年だ。それを知ると、何か不思議な力が働き、ここに呼ばれたような気がした……。
九州のインディアンオーナーの方は是非とも訪れてみていただきたい。
三池炭鉱宮原坑の施設がイギリス式のレンガの積み方だというだということを知ると、100年以上前のイギリスにタイムスリップしたような気分になる。そんなレトロな風景の中にもFTR1200Sはスッと溶け込んでいく。
この日は、市街地、ワインディング、未舗装路、高速道路など様々なシーンを走ってきたが、どこにいてもFTR1200Sは一瞬でそのシチュエーションに溶け込む不思議な魅力を持っている。こんなロードスポーツ、他に知らない。
シャッターが止まらない……フォトジェニックなFTR1200S
三池炭鉱宮原坑に到着したのは日没前。この日は終日天候に恵まれていたが、この瞬間は特にそう感じさせられた。FTR1200Sの車体の隙間から夕日がこぼれる。高島カメラマンと駆け足で撮影を進めていく。
ロケーションもよく、美しい写真は比較的すぐに撮れた。
誌面ではそんなにたくさんのカットを使えない……2人ともわかっていたけれど、それでも僕らは止まらなかった。
「もっとFTR1200Sを撮りたい」言葉にはしなかったけれど日が沈む直前まで様々なFTR1200Sの表情を狙っていった。それがここで紹介するFTR1200Sと三池炭鉱宮原坑のショットの数々。誌面で掲載できなかった写真たちである。
走りの魅力の他にフォトジェニックな魅力を持つのがFTR1200Sだ。オリジナリティの高いディテールが多く、見るほどにデザインのスタイリッシュさと細部まで気を使った完成度の高さに驚く。
この日、僕は走るほどに撮影を進めるほどにFTR1200Sの魅力に惹き込まれていった。それは撮影が終わっても余韻に浸れる、とても強い吸引力だった。
このバイクの魅力をもっと多くの人に伝えたい——そんな思いが強くなった1日だった。
RIDE HI No.2ではFTRシリーズを12ページで特集しています
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SPEC
- フレーム
- スチールトレリス
- 重量
- 227kg
- ブレーキ
- F=φ320mmダブル R=φ260mm
- タイヤサイズ
- F=120/70ZR19 R=150/70ZR18
- シート高
- 853mm
- 燃料タンク容量
- 13L
- 価格
- 236万6,400円(レースレプリカ)
248万8,000円(カーボン)