250ccへキャリアの浅いライダーを誘うシングル専用設計で新たなカテゴリーを構築したCB250RS【このバイクに注目】

250ccに乗るライダー層へ400ccと共用ツインではなく、
軽量でスポーティな新感覚のシングルスポーツを届けたい！

1970年にアメリカで提示された最も厳しい乗用車の排気ガス規制をひとりホンダだけがクリアして、世界で認められるクルマ・メーカーを目指そうとしたホンダ。
二輪のエンジニアも総動員したので、オートバイの開発を抑制せざるを得なかったが、ようやくその時期も過ぎ戦列復帰でCB750F/900Fをはじめ、怒濤のNewモデルラッシュがはじまった。
しかしホンダは目を見張るメカニズムの最先端マシンだけでなく、ニーズの多いポピュラーなカテゴリーにも細かく対応、そうした姿勢を象徴するバイク、CB250RSが1980年3月にリリースされた。

それまで250ccスポーツというと400ccとエンジンも車体も共有、排気量だけ縮小したモデルが主流。
当然ながら軽快さはなく、車検がないためランニングコストの安さで選択する250ccというのが半ば定番だった。
ところがスクーター需要が高まったこともあり、スポーツバイクに乗りたいと思う潜在層も増え、女性ライダーも目立つようになったことから、ホンダでは扱いやすく楽しめる250ccスポーツの開発を決断。
エンジンはXL250Sの単気筒がベース。クランクシャフト前方と後方にミッションシャフトを兼ねた2軸のバランサーを持ち、軽快な吹き上がりで活気ある走りが可能な、まさにうってつけのシングルだった。

ボア×ストロークは74.0×57.8mmのショートストロークの248ccで、25PS/8.500rpmと2.2kgm/7,000rpm。
エンジン下へパイプを持たないコンパクトまダイアモンド・フレームで、車重は僅か128kgと2気筒より50kgも軽い。
これがキャリアの浅いライダーや女性にはどれだけ助けになるか、説明の必要はないだろう。

この扱いやすさで好調な滑り出しをみせたCB250RSだったが、翌1981年にはキック始動のみだったのがセルモーターを装備したCB250RSZも加わりいっそうイージーさをプラス、軽快に左右へ切り返しヒラリヒラリとリーンできるスポーツ性にライバルメーカーも1～2年後にこぞってシングルの軽快なカジュアルスポーツを投入してくるきっかけとなっていた。

こうしたライトなスポーツは、海外でもニーズが高まり輸出モデルも生産されデリバリーがスタートした。
メカニズムが高度で複雑なマシンが増えるなか、シンプルな構成で乗りやすくわかりやすいカジュアルスポーツに注目が集まる傾向に少なからず驚かされてもいた。
とりわけ2ストローク250ccの過激なスーパースポーツぶりに対し、まったく正反対といえるCB250RSの人気が衰えないのだ。