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このバイクに注目
ENERGICA
EGO+RS
2023model

【電動ENERGICA 初の試乗インプレ】 走り出すと呆気ないほど違和感ナシ!

Photos:
高野泰昭 

EVスポーツバイクでは最先端、MotoE公式マシンが日本へ上陸、この冬から市販開始を目指す!

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EVスポーツバイク、いわゆる電気バイクで日本は残念ながら後発。実用化がスクーター類で実験段階であるのに対し、海外メーカーでは既にスポーツバイクのカテゴリーでも実用化を果たしている。
中でもMotoE(MotoGPと併催されているEVマシンのレース)公式マシンとして4シーズンの実績を誇るイタリアのENERGICA(エネルジカ)は、既にマーケットへデリバリーされた具体的な完成度で注目のブランドだ。
ENERGICAは日本でもこの冬の市販開始を目標に、輸入元のエスターが各地で試乗会も催しているので体験された方もいると思う。
そんな折りにRIDE HI YouTube版の収録への参加が決まり、初の試乗インプレという好機に恵まれた次第。
そのファーストインプレッションは、発進と停車が無音からスタートしてストップするときにまた無音というのが、慣れるまで違和感なのを除けば走行中あまりに普通のスーパースポーツで、その呆気なさに肩透かしだったのが正直なところ。
ということで、まずは試乗インプレをお届けしよう。

熟成されたエンジンと似たトラクション特性で、開けて曲がれる醍醐味の大きさが魅力

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ENERGICAはフルカウル、ハーフカウル、ネイキッドの3仕様で、基本的な車体と動力系は共通。ただネイキッドが出力をやや控えめにしている。
今回試乗したEGO+RSがフルカウルの最もスポーティな位置づけで、車体ボリュームもパフォーマンスも1,000ccのスーパーバイクに匹敵、ただ重量が260kgとツーリングバイクと変わらず軽くない。
ところがEVのメリットで、跨がったまま前後に2km/hで移動できるパーキング・アシストのスローモードがあり、体力に自信がなくても大丈夫という嬉しい利便性が味方する、新鮮な感動に浸ることからはじまった。
で、わかっちゃいるけどエンジンがアイドリングしていない無音状態から、スロットルを捻れば走り出すその一瞬が違和感の塊り。
半クラッチなしで倒れない速度まで加速してしまえば安心?なのだが、そこまでグイッと発進してしまう勇気がなかなか湧き出てこない。
これは停車も同じ。時速5km/hでもエンジンのようなノッキングがなくスムーズだから安心感は大きいのだが、最後にピタッと停車するときに無音なのが、最初は立ちゴケしそうになっている気持ちに陥りやすく、何とも不安だった。
というネガティブに聞こえそうなところを敢えてお伝えしているのは、これも数回で徐々に慣れ、そのうち全く気にならなくなる種類のことなのだが、この数回でこりゃ性に合わないと皆さんが短い試乗で否定的になってはもったいないからだ。

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そして走り出せば当然ギヤチェンジもなく、スロットルひと捻りでリスクを避けるため制限を設定した240km/hまでのどの速度域へも、高周波のやや悲鳴に近いモーター音と共にワープできる。
因みに公表値の0-100km/hまで2.6秒は、スーパーバイクの頂点モデルと変わらないかやや上回る俊足ぶり。
そしてコーナリングのトラクションにエンジンのゴリゴリ感はないものの、グッと路面を蹴る立ち上がりの強さが明確で、後輪へ体重をあずける操り方が功を奏するフィーリングも伝わりやすく、醍醐味がかなり強いのには感動した。
とくに旋回中に路面を蹴りはじめてからのグリップ感がグイグイと増大していくダイナミックさが魅力だ。
さらに大きな特徴として、電力回生ブレーキ、エンジンブレーキのようにスロットルを全閉にするとモーターが発電機へと切り替えられ、その抵抗でブレーキのように減速される。
この電力回生ブレーキは3段階に選べて、真ん中の中庸レベルでも街中の信号で停車するにはほぼブレーキレバーもブレーキペダルを操作せずに止まれる。
これは初心者のエンブレ頼りにとって、安心のひとつになるのは間違いない。
パワーモードはエコ/スタンダード/ウェット/スポーツ4種類。今回は走れる環境からスポーツは試せず、またの機会にご報告しよう。
前輪は設定が常に少しアンダーステア気味に、加速ではプッシュされてスライド側の安定感となり、スロットルOFFでリーンしていく間も同じくアンダー気味のステアバランスによる安定感に支配されている。
クイックハンドリングにはセットされていないが、動きのピッチが一般道路を前提にするとむしろこのくらいが操りやすいのは確かだ。
ワインディングは中速域を下回るアベレージでも、複合でもう一回の向き変えが容易い後輪の旋回力が発揮されるため、かなりスポーティな印象だった。

普通充電と急速(チャデモ)充電でふたつのソケット、420kmの航続距離で1200回充電(48万キロ)でも劣化せず

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ところで電気バイクといえば、誰でも気になるのがフル充電からの航続距離と道中での充電時間。
ENERGICAはご覧の車体中央がほぼバッテリーで埋まる容量の大きさで、リチウムイオンではなくリチウムポリマーのバッテリーが許容する航続距離は420km。
また普通充電と急速(チャデモ)充電の2輪では唯一ふたつのソケットが装備されていて、家庭(エアコン用200V)での充電はバッテリー残量によるものの4~7時間、街中のパーキングやクルマのディーラーに高速道路のサービスエリアで見かける急速(チャデモ)充電だと、15~30分で済むという早ワザ。
そしてこのリチウムポリマーのバッテリー、1200回のフル充電(48万キロ走破)でもさしたる劣化がみられないという実績が、4シーズン闘ったMotoEでのデータで検証済みという(保証は3年または50,000km)。
このEVスポーツバイクの今後について、RIDE HIでは残る2モデルの試乗などの機会を実現しながら、より具体的な詳報をお伝えしていくのでお楽しみに。

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フルカウルのEgo+RS

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ハーフカウルのEva Ribelle

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ネイキッドのEsseEsse9

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来年から加わるアドベンチャー系Experia

SPEC

Specifications
ENERGICA ERGO+RS
最高出力
126kW(171PS相当)
最大トルク
215Nm
フレーム
スチールトレリス
車両重量
260kg
サスペンション
F=テレスコピック43φ倒立
R=スイングアーム+モノショック
ブレーキ
F=φ330mmダブル R=φ240mm
タイヤサイズ
F=120/70R17 R=180/55R17
全長/全幅
2,140/870mm
軸間距離
1,465mm
シート高
810mm

ENERGICA EGO+RS(01:57:28から) の動画とモーターサウンドも聞ける「RIDE HI」はこちらから