A.乗り続けるためには、無事故への努力を怠らないこと
還暦を過ぎ、体力が著しく低下。ビッグバイクの取り回しなどが辛くなってきました。そろそろコンパクトなバイクにシフトしようかとも思いますがなかなか踏ん切りがつきません。頑張ってビッグバイクに乗り続けるべきか、軽量なバイクに乗りかえるべきか……根本さんはまだまだ誌面やWEBでビッグバイクに乗られていますが、こうした葛藤はありませんでしたか?
走り出してしまえば苦にならないけれど……
中高年ライダーの方々へ、これまでも似たようなご質問にお答えしてきました。おっしゃるように年齢を加えると、ビッグバイクを押したり引いたりの取り回しからまず辛くなりますネ。ボクもツーリング中の休憩では、駐車場で前輪側が低くなる斜面を絶対に避けるなど、出発の時に無駄に体力を消耗しないよう心がけます。
誰かの助けを借りなければダメなら、そろそろ身の丈に合った軽量なバイクにすべきかも……なんて考えてしまいそうです。
ただ走り出してさえしまえば、よほどの重装備でないかぎり、ビッグバイクを操るのに体力は必要としません。右に左にとワインディングで素早く切り返すペースでも、本来の力づくではない操作に徹していれば、体力の衰えで云々とはならないはずです。
反射神経や感覚のズレ、若い頃と同じ感覚で走るのは危険
とはいえ、ある日ふと「長く乗り続けたいなら、どこかで思い切って軽量なバイクに潔く乗り換えるべきかも」と思う瞬間がやってきます。実はボクも50代半ばでそう思う頻度が高くなった経験があります。
それは重さだけでなく、ちょっとしたタイミングを外したときのミスだったり、きっかけは様々でした。つまり体力的な面より、反射神経などの衰えを嫌でも実感する時期に差し掛かったのです。乗ってしまうと、若かりし頃と同じつもりで走ってしまいがちで、この頃は、アメリカのデイトナのレースにも熱中してたので、そこの自覚が不足していたのは否めません。ただ自分を戒める気持ちは中途半端ではなくなりました。
そこで慎重になると、明確なミスをしなくなって「まだ当面は大丈夫」な気持ちに戻っていました。これを警鐘が鳴っているウチに実行したほうが賢明というご意見もあるでしょうし、乗れるうちはより気をつけてを条件に、ビッグバイクを続けるのもアリだと思います。
ただビッグバイクの大排気量だから可能な、低回転域で力強いエンジン特性が、トラクションのコントロールのしやすさや車体のバランスコントロールでむしろ助けてもらえる要素であることも無視できません。扱い方さえ間違わなければ、むしろマージンを与えてくれるのものだからです。
いずれにせよ、考え方だけでなく、体力や反射神経など諸々個人差もあることですし、一概には決めつけられません。
まずは家族や仲間に反対されないために、無事故を続ける努力は当然のことだと思います。
走り出してしまえば、ビッグバイク特有の安定感やコントロールしている醍醐味はいくつになっても味わえる。怪我や転倒がなければ、家族や仲間からも反対されないはず。これがバイクを長く楽しむために大切なこと
- Words:
- 根本 健
- Photos:
- 長谷川 徹,高島秀吉,真弓悟史