img_article_detail_01

頻繁に立ちゴケ……を回避したい!【教えてネモケン028】

oshiete-nemoken_028_main.jpg

A.停車寸前の身構えを常に意識しよう

憧れていた大型バイクに乗りはじめましたが、情けないほど呆気なく
立ちゴケしてしまうことが多くて意気消沈しています。
何か良い方策はないものでしょうか?

乗り始めた頃には誰も経験する苦い思い出のひとつ。それが立ちゴケですね。
いまだにボクも、たまにしてしまうこともあります。大事な愛車を傷つけてしまう情けなさで意気消沈。よく分かります。
スーパースポーツのように、特にシート高があり、ハンドルが幅狭く低い位置にあると、バランスを崩したときに支える術もなく、あえなくバタンとやってしまいがちです。

まずお聞きしたいのが、バイクに慣れていないのに、足が地面に届きにくくはありませんか?
両足が踵までベッタリ地面に着いてバイクを支えられていれば、当然ですが立ちゴケする確率は低くなります。でもつま先がようやく届く状態だったら、しかも真下に降ろしてわずかに届く状態だとしたら……、不安は募るばかりですよネ。

そこでバイクに慣れるまでは、リヤサスペンションのプリロード調整(スプリングに初期荷重をかける座金の位置を深くしたり浅くしたり調整する機構)を思いきり緩めてしまいましょう。

この調整の本来の目的は、走行中にライダーの体重でどこまでリヤサスペンションを沈めておくかを決めるため。体重で沈んでいるサスペンションが、コーナリング中に滑った場合など、リバウンドといってサスペンションが伸びることでリヤタイヤのグリップを急激に失わず、リカバーできる範囲を決めるのが目的です。

でもバイクに慣れる前の段階のライダーには、こうした微妙な調整などまだ必要ないですよネ。ですから、バイクに跨がって足が十分に届く高さまで座金を緩めて車高を下げましょう。

また車種によってはプリロードの調整以外にも車高調整機構が付いています。これがあればリヤサスペンションを取り付けている部分でさらに長さをアジャストができ、シート高を下げることができます。

それでもまだ不足していたら、バイクショップと相談してリヤサスペンションの全長をカットしてさらに縮める改造を考えましょう。それではコーナリングなどでバイク本来のパフォーマンスが損なわれてしまう……そんなことはバイクに慣れてから考えれば良いことです。慣れてしまえば、足がようやく届く状態でも立ちゴケせずに操る術が身に付いているはずです。

osiete-nemoken_028_1

バイクに慣れるまではプリロードを緩める

バイクの足着き性をよくする手段のひとつが、サスのプリロードを緩めること。スプリングにかかっていた初期荷重を緩めることで、跨った時にシートの沈込む量が増える。まだバイクに慣れていないのでここから試そう!

決めたら迷わず止まる

 それと立ちゴケしやすい状況についても考えてみましょう。渋滞とか、駐車する寸前に停車位置を気にしてゆるゆると微速で進んだ後の停車……この直後の瞬間に立ちゴケしていませんか?
微速で走るとハンドルで左右のバランスをとるなど上半身が不安定になります。この状況では足を地面に着きやすくする準備がおろそかになりがちです。
そこでゆるゆると走るようなことはせず、足を出すほうへ腰をズラした状態をつくり、サッと止まってしまうのです。

人間は躊躇したまま、どうしたら良いか迷っているときほど気持ちや身体の動きが不安定になるものです。そんなときに何かが起きれば対処できないのが普通なのです。止まろうとしているなら止まる、停車位置より少し手前だろうが構わず止まる。これで意外なほど立ちゴケは防げます。

また停車する直前、出したほうの片足を踵から着く動作を練習しておきましょう。やっと届く状態でつま先から着いたのでは、完全に停車する前にわずか数センチでも動いた距離で、着いた足が後ろへ流れた状態に陥ります。このままバランスを崩したら、バイクは支えられませんよネ。

それとあまりに警戒して、早くからあらかじめ片足を出した状態で身構えると、この停車寸前に足を着いてしまうリスキーな状況に陥りやすくなります。

できれば停車してから足を出す……そんな無茶なと思うかもしれませんが、バイクは急には倒れません。一拍あってから足を着いても十分に間に合うものです。足着きの良い場所などで、何回も練習してみると、この意味が分かるはずです。

いずれにしても、バイクに慣れる前は経験のあるライダーでも立ちゴケのリスクはあります。また長距離を走った後の、自宅まであと少しという場所でも、疲労でベテランが立ちゴケしやすかったりします。過度の緊張は良くないですが、常に停車寸前の身構えだけは心がけておきましょう。

oshiete-nemoken_028_2

ピタッと止まって同時に足を着く

立ちゴケしてしまうシチュエーションは止まり際が多い。ブレーキを緩めながらスムーズに止まることより、止めると決めたら、ピタッと止まり同時に足をつくことを意識しよう。止まるときには踵から地面につくことを意識する

oshiete-nemoken_028_3

停車するときには腰をずらして片足で

足着き性に不安があると、両足を地面に着けたくなる……。でも実はこれ、不安定な状態を生んでいる。両足のつま先が地面にわずかに着いている状態より、腰をズラして片足をしっかり着くほうが車体も身体も安定する

Photos:
藤原 らんか,長谷川 徹