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車間距離で後続が陥りやすい「落とし穴」【ライドナレッジ149】

Photos:
Shutterstock(Erik Tanghe),RIDE HI 編集部,藤原 らんか

前を走る仲間より、バンク角が深かったり加減速も頑張ってる!?

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友人や仲間のグループと一緒にツーリングするとき、誰かについてゆく走りというのが、実は案外とハードに感じることがある。
少し慣れた先輩に先を走ってもらうと、カーブの入り口で進入速度を適宜調整してくれるので、おまかせな気分で減速も合わせていけば良いという安心感が大きい。

ところが少し慣れてきて、途中からペースが上がってきたのか、ついていくのがそこそこキツく感じることがよくある。
気がつくとカーブで前を行く仲間より自分のほうがバンク角が深い。
そしていつの間にか、ブレーキも強めにかけてるし、加速もスロットルを大きく開けて、エンジン回転も引っ張って頑張ってる感じに……。

これはある「勘違い」に陥るからで、よく考えてみれば当然のこと。
理由を知ってしまえば、焦らずマイペースで走れるはずなので、この前車との車間距離について「勘違い」の呪縛にかからないよう、説明をシッカリ理解しておこう。

前車との車間距離は同じペースほど変わるもの

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前を行く仲間に離されないよう車間を一定に保とうと走っていると、カーブ入り口の減速区間で追いつくものの、カーブの立ち上がり加速で離されてしまう。
これ実は当然のことなのだ。

たとえば仲間うちで車間距離をそれほど空けない状態だと、カーブ手前で前車がブレーキをかけたことがストップランプなどで確認できたら、こちらもブレーキをかけはじめる。
ただみるみる車間が詰まってしまうので、少し強めにブレーキをかけることが多い。それでもやや追いついてしまい、車間はやや詰まっているかも知れない。

そしてカーブが終わり、出口で前車が加速をはじめると、今度は車間が離れはじめ、慌てて少しスロットルを大きく捻ったりシフトアップせず下のギヤのまま引っ張ったり。
何でこんなに頑張らなきゃいけないのか、そう思いたくなるほどで疲れてきたりする。

これは速度と車間距離の関係で、速度変化が起きる地点がズレるために起きる現象なのだ。
前車が減速をはじめた地点を確認してからの時間差は、まず車間が縮まるわけで、同様に前車が加速をはじめたと認識してから追いかけ加速すれば、その時間差で車間は離れることになる。

走り方が全く違うとはいえ、常に全力で走るレースでは、同じラップタイムで走っている車間が近い2台が、ヘアピンで後続が2メートル差まで追いついても、カーブ立ち上がりからストレートで5メートル以上も離されるシーンをよく見る。
200km/h以上で走る直線で、0.1秒差は5メートルほど。でも50km/hだと1メートルちょっとの近さだからだ。

この車間距離の変化が当然のことと認識していないと、詰まったり離されたりに意味のない一喜一憂をするハメに陥る。

詰め過ぎず離れ過ぎず、車間が変わることに慣れよう!

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ということなので、頑張ってエンジン回転域を中速以上のすぐ強い加速ができる状態にキープしたりの「戦闘モード」にならないよう、減速時にはやや追いつき、加速では少し離されてもこれが同じペースで走っていることになる認識を持っておくこと。

そして前車の後輪ばかり注視せず、カーブなど全体を見渡す余裕と、先輩が自然な体重移動などでスムーズに走っていくワザを観察するなど、他へ意識できる余裕をもった走りで、せっかくのチャンスをステップアップへのきっかけにしたいものだ。

また経験の少ないライダーと一緒に走るときは、キャリアのある側はバックミラーで車間を確認しつつ、後続がムリをして頑張らないようペースに気をつけたい。
誰かと一緒にツーリングすると決めたとき、これはキャリアのあるライダーに課された義務のようなものだろう。