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Q. 新車でも頻繁にオイルや空気圧を見ないとダメ?【教えてネモケン128】

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念願の新車を購入しました。中古車に乗っていたので、すべてに新しくコレで何も心配せずに乗れると喜んでいたら、エンジンのオイルやタイヤの空気圧とか、ツーリングへ出発する前に必ずチェックするよう言われました。新しいから手間要らずにはならないのですか?

A.クルマなど生活道具は、使いっぱなしでも壊れないようにできている製品がほとんどですよね。でも趣味の道具となると、手間要らずより面白さや醍醐味を優先するデリケートなつくり。新しいときのほうがオイルは減りが早いこともあります。

走れば減るオイルや空気圧、だから必ずチェック!?

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最新のスポーツバイクは、たとえ高性能で精密なハイメカニズムでも耐久性があり、そう滅多なことでは壊れません。
しかし、この精密なことが新しいときのオイル消費を多くしたりします。

まだ運転をまったくしていない状態のシリンダーとピストンは、クリアランス(お互いの隙間)が全面的に均一ではありません。
往復運動を繰り返すうちに、熱歪みでアタリの強い箇所がやや摩耗してから、圧力が抜けないバランスの良い状態になっていきます。

それは他の各部でも運転するに従い徐々に馴染んでいき、シリンダーや燃焼室だけではなく、圧力の均衡がとれてスムーズになっていきます。
そうなる前の各部は、エンジンオイルも引きずられるように燃焼室やブローバイで吸気へ吸われ、少なからず消費されます。

馴らし運転が終わると、オイル消費も少なくなり、滅多には減りません。
ということで、馴らし運転は大事なのですが、大事にしようと負荷をかけずにそろそろと加速したり過保護でいると、いつまでも馴染まないだけでなく、偏摩耗のような状態へ陥る可能性もあります。

そうなるとオイル消費も多いままになりがちです。 ある程度の負荷をかけたほうが、摺動面にスムーズなアタリがつきやすいので、腫れ物にさわるような扱いは却ってよくないと思ってください。

ということなので、まだ2ヶ月も経っていないからといって、エンジンオイルの点検窓をまったく見ないのはリスキーでもあるのをお忘れなく。

タイヤのゴムは空気を通す

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これは新車時だけではありませんが、タイヤも1~2ヶ月放置すると空気圧が自然に抜けてしまうので、ツーリングへ出かける前は必ずチェックが必要です。 なぜならチューブにしろ、チューブレスの内側に貼られているインナーライナーの膜にせよ、完全密閉にはできないからです。

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ガレージにエアゲージとポンプを常備しておけば、走り出して空気圧チェックのためにGASステーションを捜すこともなくなります。
またチューブレスだと、釘が刺さっていてもインナーライナーのフィルムで包み込むようにシールされ、すぐには空気圧が下がらずそれと気づきません。空気圧が低かったらポンプで空気圧を高めたとき、トレッドへ耳を当てると僅かに漏れていても抜ける音が聞こえるので、出先で大きく抜けてしまい走れなくなってしまわないように、忘れずにチェックしておきましょう。

サスペンションのオイルシールも常にチェック

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またこれも新車だから云々とは関係ないのですが、サスペンションのダンパーオイルが漏れていないかのチェックも必要です。

前車が跳ねた小石などでフロントフォークのインナーチューブに傷がつき、その小さくても鋭い突起がオイルシールのリップを損傷して、ダンパーオイルがインナーの表面に塗られたように漏れてくる可能性が少なくありません。

リヤサスも後輪の直前やピボット横など、これも跳ね石が飛んできやすい位置にマウントされていることが多く、スピンドル(ダンパーの中心軸)の表面が傷つけば同じようにダンパーオイルが漏れてきます。

もちろんすぐに走行が不安定になるまでダンパーオイルが減ることはありませんが、ある程度から急激に性能が落ちるので、頻繁にチェックしながらタイミングを見計らって修理するなどの対応をとったほうが賢明です。

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さらにいうまでもありませんが、ドライブチェーンの調整も必要です。
ただ最新のチェーンは、テンションがかかった初期に若干だけ伸びるだけで、そこから暫くは調整が必要ないほどの強度があります。
それだけに張り過ぎると伸びないため、トラクションが加わった立ち上がりに、アンチスクワットのきっかけレスポンスが鈍くならないよう、遊び設定は伸びる前提できつくせず、正確に調整するのがお奨めです。

といった按配に、スポーツバイクはまだ新しいから暫くは乗りっぱなしで大丈夫、ということにはなりません。大切に気遣いしながら頻繁にチェックしましょう。
それだけ繊細な乗り物なのです。

Photos:
DUCATI,Shutterstock(Aisyaqilumaranas), iStock(piyaphun)