50ccといえどワークステクノロジーを満載!
世界GPを制した500ccRGΓワークスマシンの傍らに立つチャンピオンのF・ウンチーニ、そこへ並べられたRG50Γ……こんな時代がくるとは、'70年代には考えてもみなかった。
’70年代まで50ccの原付一種スポーツモデルは、中型以上と変わらない本格的なフォルムで高校生向けというより一般的に社会人の生活道具としての位置を占めていた。
それが'80年代に入るとレーサーレプリカの嵐が巻き起こり、50ccもその渦に巻き込まれていくことになる。
'70年代までRG50で定評ある50スポーツの雄だったスズキは、世界GPでホンダ・ヤマハを蹴落として頂上合戦に勝利したRGΓのレプリカ、RG50Γを1982年に投入。
エンジンは新設計のアルミシリンダーを採用した水冷2ストローク単気筒ピストンリードバルブを搭載し、最高出力7.2PS/8,000rpm、最大トルク0.66kg-m/7,500rpmを発揮。
ミッションも何と6速。フロントフォークにはANDF(アンチノーズダイブフォーク)と急激な前のめりを抑える装備に、リヤはフルフローターとこれもGPマシン譲りの高度なサスペンションを奢り、前輪17インチ後輪18インチの前後で径の違う仕様など、原付一種には過剰なフィーチャーばかりだった。
トップスピードも100km/hに届く性能となったところで、自主馬力規制に踏み切るメーカーもあり、遂に1985年から60km/hリミッター装着へと推移していったのだ。
2世代目から最高速度が60km/hに制限され、スピードリミッターも装備されたが、軽快なハンドリングは健在。加速は規制前よりも鋭いものとなった。
最高出力回転数は8,000rpmから7,200rpmに低下し、最大トルクは7,500rpmの0.66kg-mから7,000rpmの0.72kg-mに向上していた。
'90年代に入っても依然としてイヤーモデル変更で生き存えていた!
1990年モデルからフルカウルバージョンのみとなり、ホイールは中空3スポークアルミキャストホイールに変更された。
タイヤも新しい扁平タイヤを使用し、マフラーはチャンバータイプに。リヤホイールのサイズは18インチから17インチに変更され、フェンダーとマッドガードの形状が新しくなった。
地上高は180 mmから155 mmに低下、乾燥重量は71 kgから73 kgへと増加した。これ以降、RG50Γには大きな更新は行われていない。
また1991年、それまでのワークス仕様、ブルー&ホワイトカラーから、派手な蛍光ストライプが入ったブラック&ピンクのツートンカラーが加わる。アーバングレーメタリックはそのまま継続されていた。
こうしてRG50Γは1998年モデルまで継続生産され、カウルのない車名をWOLF50としたネイキッドは1999年まで存続する、まさかのロングランモデルだったのだ。