カウル付きとネイキッドの2本立てをやめタウンユースのイメージへ!

ホンダが1982年5月にリリースしたVT250F。瞬く間に10万台を突破する爆発的な売れ行きで、街中に溢れ返っていた。
その2年後に40PSへパワーアップ、発生回転域が超高回転の12,500rpmでレッドゾーンが13,500rpmとどれをとっても異例ずくめ。
ボディマウントのハーフカウルを装着していたが、ネイキッド版のVT250Zもリリースされシティコミューター的な使われ方で安定した人気を得ていた。
そして3世代目のVT250Fはエアロフォルムに身を包み、一転してパフォーマンス・イメージを掻き消した柔らかいトーンで、車体色にピンクを使う思い切った路線変更となり、迷走ぶりにみえたことで一気にVT熱も冷えてしまった。
ラストにダブルディスクブレーキで、カラーも刺激的な赤をフィーチャー、実はパフォーマンス発揮で攻める走り向きだったが、せっかくのタウンユース人気のVT250Zを継承するモデルを残そうと1987年に誕生したのが、新たなネイキッド版となるVTZ250だったのだ。



しかし前モデルVT250Zとは、かなり似たイメージだがエンジンとシャシーはエアロフォルムのVT250Fベース。
3世代目なのでコンロッドをはじめ強度アップとフリクションロス低減が随所に込められ、カムチェーンのテンショナーなど高回転へ一気に高まるときは張力が強まり、一定回転だとテンションを弱めてフリクションロス低減となるメカニズムを搭載、43ps/12,500rpmを発揮していた。
フレームも2世代目の角パイプ製ダブルクレードルから、角形でも断面が72mm×25mmの軽量高剛性でダウンチューブを持たないダイアモンド型構成と似て非なるシャシーとなっている。


そのVTZ250も、デビュー2年目の1988年モデルから吸気ポート形状にバルブの開閉タイミングを変更、3PSダウンしたものの0.1kgmとトルクをアップ、よりタウンユースに向いた低中速域の力強い特性へと改良された。
またミッションも1~6速までをワイド化、街中でのメリハリのある走りと搭載量が嵩張っても実用できる逞しさでポテンシャルを向上した。


VTZ250の最終型となった1989年モデルは、それまでのイメージを受け継ぐホワイトとブルーの他に、グレーメタリックにブラックとブルーの硬派なカラーリングを採用、人気となっていたのは忘れられない。




VT250はこの翌年からSPADAという、フレームもツインチューブイメージで、カジュアルネイキッドのデザインと共に、4気筒勢とは位置づけが異なるのを強調したラインナップへと、またもや大きく方向転換していくのだった。